●50歳を目前にして思うこと (Thoughts on the verge of turning 50)

50歳を目前にして思うこと 人生も50歳手前に近づくと大体、自分の素質や強み・弱みが分かってくるようになります。 仕事でもプライベートでも、若い頃のように先輩や年上の方に厳しく言われることもほとんどなくなり、今後の人生が今までの延長線上に想像できるようになってくるように感じます。 言葉を換えると、何もしなければ何の変化もないまま歳をとっていくだけで、『加齢による心身の衰え』や『世界がどんどん変化していくこと』を加味すると、『現状維持は後退すること』を意味することになりそうです。 人生100年時代と言われ、『これまで生きてきた倍の年月を惰性で生きていくこと』を想像するとゾッとします。 最近、漠然としたこのような危機感がどんどん膨らんできて、まずはこれまでの知り合いの人達と、積極的に意見交換をすることから始めようと思い立ちました。 学生時代の何人かの友人に連絡を取って久しぶりに会話をしていると、自分の悩みを解決する様々なヒントをもらうことができました。 中でも、当時から思考回路や笑いのツボが似ていると感じていた親友の近況を聞くと、自分がこれまで直面してきた困難とそっくりの経験をしていることが分かりました。 知り合ってから30年近く、これまでかなり長い時間を共有してきたにも関わらず、話題を『これまでとこれからの生き方について』に絞って話し合った結果、大げさに言うと『自分の悩みを共有できる親友が新たに現れたような感覚』がありました。 働く業界は全く違えども、互いの生き方のヒントになることはたくさん提供し合えそうです。 この観点で、少しずつ人脈を広げていこうと思います。 Thoughts on the verge of turning 50 As you approach the age of 50 in life, you will generally begin to understand your own qualities, strengths, and weaknesses. In … Read More

●不良品への対応 (Defective product response)

不良品への対応 先日、とある取引店さんから、出荷した包丁の柄挿げ不良についてのご報告を頂きました。 率にして2%ほど、同じシリーズの包丁で問題が継続的に発生しているとのことでした。 この方とは取引が始まって10年以上、今では一緒に旅行するほど仲良くさせて頂いており、また何度も弊社に来て頂くなかでスタッフとも顔馴染みになるくらいに、関係性の強い取引先さんです。 そういう関係性もあってか、『伝えようかどうしようか迷ったのだけれども…』という前置きをして頂いた上での今回のご報告でした。 弊社としてはすぐに改善すべき課題ですので、事実を伝えて頂いたことに対して感謝を伝えた上で、『可能ならば返送して頂きたい旨』、また『今後も何らかの問題があった時には、決して我慢されずにお伝え頂きたい旨』をお伝えしました。 (この記事をご覧の方でも、もし同じような問題に気付かれた方はぜひご報告下さい。大変申し訳ございません。) 社内では、すぐにスタッフ全員と情報共有しました。 誰が作業したものかが判別できない状況ではあったのですが、皆が高い問題意識をもち、「ひょっとして僕が作業したものかも」『いえ、私がしたものかも』と、個々に可能性を伝えてくれました。 それぞれのスタッフの作業手順を確認してみると、きちんと教わった通りに作業してくれていることがわかり、特に問題は見当たりませんでした。 総合的に判断すると、自己申告をしてくれた一部スタッフの入社前にあたる一年ほど前に作業したものである可能性が高く、包丁の種類によっては作業手順が徹底されていなかった環境で発生した可能性があるということが分かりました。 問題を出さないように作業すること、また問題が出た時にすぐに改善することはもちろん重要ですが、その時に当事者意識を持って解決策を探すことができるということ。 この数年で新しいスタッフが数人入り、彼らが生み出す売上の伸びこそまだ少し時間がかかりますが、目に見えないところで着実に成長している姿が垣間見れた、貴重な機会でした。 Defective product response The other day, we received a report from one of our suppliers about a defective handle installation of a knife that was shipped to … Read More

●相手に期待することを伝えること (Clarify expectations of the other party)

相手に期待することを伝えること 人との信頼関係を作るために大切なこととして、『約束を守ること』『誠実であること』『ちょっとした気遣いをすること』など、他にもいくつかの要素があります。 これまでの人生を振り返ると、比較的実践できていたこと、状況によってできたりできなかったりしたことなど色々ありますが、中でも自分自身の中で『決定的に出来ていなかったこと』が一つ判明しました。 それは、相手に対して『期待を明確にする』ということです。 自分が若い頃、担当者として動き回っていた時は、『とにかく目の前にある仕事をこなすこと』に必死でした。 スタッフが増えて他人に仕事を任せるべき立場になってからも、しばらくの間は『自分でやった方が早い』とばかり考え、当初はなかなか任せることが出来ませんでした。 ここ最近では、ようやくそれが出来るようになってきたと感じていたのですが、それでもやはり上手くいく時とそうでない時があります。 上手くいかなかった時のことを振り返ると、結局自分がやっていたのは、『個々の仕事をこなすことを頼んでいた』にすぎなかったことに気付きました。 『期待を明確にする』ということは、個々の仕事だけでなく、それらを通して『その先にあるものを達成すること』を委託すること。 『仕事を頼む』のではなく、『相手を頼る』ということなのかも知れません。 期待を明確にすることによって、『あなたはこんなことが達成できる人だと信じています』というメッセージも同時に届けているように感じます。 このことを認識した後、こちら側のちょっとした伝え方の違いで、『相手の動きが大きく変わった』ということが実際に起きました。 このことはまだ学んだばかりなので、もっと色んな局面で試していきたいと思います。 Clarify expectations of the other party There are several other factors that are important for building trust with people, such as ‘keeping your word,’ ‘being honest,’ and … Read More

●豊かさと反比例する満足度 (Satisfaction in inverse proportion to affluence)

豊かさと反比例する満足度 最近では、定額制の音楽聴き放題のサービスが世の中にあふれています。 僕もこれらを利用していますが、最近ふと感じることがあります。 それは『あらゆる音楽が聞ける環境であるにも関わらず、音楽を聴くことがどんどん楽しくなる訳ではない』ということです。 選択できる曲数がたくさんあると、毎回違う曲を選択することになり、結果的に同じ曲を ”繰り返し” 聴く機会がどんどん減っていきます。 その結果、お気に入りの曲かどうかも判断できないまま、どんどん次の曲を聞きあさることになります。 以前は聴きたい音楽があればCD等を購入し、それを繰り返し聴きました。 それによってどんどんその曲が好きになり、それが作者の情報等も深堀りすることにつながり、結果として音楽とそのまわりにあるものを楽しみ、それによって満足が得られていたように思います。 所有物が増えすぎて、幸福度が下がってしまうということ。 長く都会で過ごした人たちが晩年、地方に移住する感覚と似ているかも知れません。 自分達が作り出す製品でこのようなことが起きないよう、今後もより一層丁寧なモノづくりに励みたいと思います。   Satisfaction in inverse proportion to affluence These days, the world is full of subscription-based, all-you-can-listen-to music services. I have been using them myself, but recently I … Read More

●今後の販売店さんとの関わりについて (Regarding the relationship with dealers in the future)

今後の販売店さんとの関わりについて 前回の記事では『会費制のファンクラブ』の運営を検討中であることをお伝えしました。 それによって今後、今までお世話になった各国の販売店さんとの関係はどうなるのか、についての考えをお伝えします。 特に数量の限られたものは会員さんに直接販売させて頂くので、販売店さんは経由しないことになってしまいます。 ただ、直接販売をしないこれまでの状況においても、販売店さんに多大なご迷惑をお掛けしていたとも感じています。 数量が限られた包丁については販売店さんのECサイトで、販売開始直後に売り切れることがよくあったそうです。 そのため、お客さん同士の取り合いになり、中には販売開始のタイミングを狙ってBOT(コンピューターがクリックボタンを連打する仕組み)を使う方も出てきて、一般の方が購入しようとしても全く太刀打ちできないということが起きていたそうです。 また、そのような状況では販売管理システムが追い付かずに、『準備した在庫を上回る数量を販売してしまう』ということも起きました。 (数量が限られているため、その分の追加供給の見込みが立たないということもあります) また、このような包丁は出荷計画を立てにくいことから、販売店さんはお客さんから寄せられる問合せに対し、『次回の販売日は未定です』という答えを延々とし続けることになってしまい、それによってフラストレーションが溜まるという状況もあるようです。 販売店さんにとっては、販売数が少ないためそれによって得られる利益金額は少ないにも関わらず、それには全く釣り合わないこのような不利益を被り続けていたということになります。 もちろん、生産数がある程度確保できるものについては、引き続き販売店さんに供給させて頂きます。 上記のように数量が少ないものについても生産効率を上げ、販売店さんに供給できるように努力を続けます。 加えて、自社で賄える製造工程を少しずつ増やし、生産数をコントロールしやすい新商品を立ち上げて、それらも販売店さんに供給できるようにしていきます。   Regarding the relationship with dealers in the future In the previous post, we mentioned that we’re considering running a fan club with membership fees. As … Read More

●今後のお客さまとの向き合い方について (Regarding how to deal with customers in the future)

今後のお客さまとの向き合い方について 前回の幸之祐インスタグラムでの投稿に関連し、『弊社の包丁を転売目的ではなく、本当に所有したい方にお届けするにはどうすればよいのか』、また『今後弊社は、どのように世界中のお客さんと向き合っていくべきか』について、考えています。 これらの課題を解決するため他社さんの事例を学んだり、色んな方々に相談した結果、『ファンクラブ(会員サイト)の運営』という答えに行き着きました。 今、検討している運営方式は以下の通りです。 会員さんには人気のある製品を優先的に購入して頂けるようにしたり、特に希少性の高いものや限定品については、『会員さんへの限定販売』という特典も検討しています。 それだけでなく、チームの各メンバーがそれぞれに取り組んでいる新製品の開発状況など、一般には公表しづらい会員限定の情報も週一程度でお伝えしようと思っています。 恥ずかしながらこれまでの自社の体制では『顧客管理』という考え方がまだまだ不十分で、『たくさんの幸之祐包丁を所有するコアファンの方』であっても、最近初めて弊社のことを知った方と同じように対応してしまっていることが多々ありました。 これについても、もしファンクラブに加入して頂ければ、会員さんをリスト化することによって、解決できると考えています。 より詳しい情報を提供することによって、会員さんも一緒に弊社のモノづくりを楽しんで頂けると思います。 またそれを通じて皆さんから頂くフィードバックで、幸之祐チームのメンバーもより大きな喜びを得られ、さらにモノづくりを楽しむことにつながると思います。 会費については、有償にさせて頂くことを検討しています。 というのも、現在各国のお客様から頂くたくさんのお問合せに対して日々対応させて頂いておりますが、そのためには小規模なチームのため担当者が作業の手を止める必要が出てくるなど、これまでも製造に大きな影響が出ていました。 会費が無料だと多くの方々からの加入申請が予想され、これまでと同じように情報を管理できない状態に陥ることが予想されるというのがその理由です。 ここまでお伝えすると、『これまでお世話になった各国の販売店さんとの関係はどうなるのか』という疑問が出てくると思いますが、それについては次回の記事でお伝えしたいと思います。 Regarding how to deal with customers in the future In relation to the previous post on Konosuke’s Instagram, I’m thinking “what can we do to deliver … Read More

●心が動く買い物 (Purchasing that moves your heart)

心が動く買い物 日々モノづくりをする中で、最近では特に『お客さんに製品を買って頂くためには、いかにその人の心を動かすことができるか』という、シンプルですがとても大事なことに気付くことが増えてきました。 昔はモノ消費の時代、今はコト消費の時代に変わった、と言われます。 ただ、よく考えると、家庭内にモノが少なかった頃は、シンプルにモノを買うこと自体が買う人の心を動かし、 モノに溢れた今では、買う人の心を動かすのはモノだけではなくなったということだと思います。 興味の対象が変わっただけで、『人は心が動かされたものに価値を感じて購入する』という意味では何も変わっていないと思います。 もちろん、『人の心を動かす何か』を生み出すのはかなり難しい作業ではありますが、今後も、自分達にしか生み出せない価値とは何かを常に考えながら、モノづくりを続けていきたいと思います。 Purchasing that moves your heart While involving in manufacturing every day, especially recently “In order for a customer to buy a product, it is important to move the customers’ heart.” This is a … Read More

●押し売り (High‐pressure selling)

押し売り モノづくりにおいて一番大切なことは、シンプルに『それを購入することによってお客さんにどれだけ満足して頂けるか』だと思います。 それにまつわるイメージが良ければ良いほど、そのモノ自体が魅力を発し続け、お客さんを『満足させ続ける』ことができるので、積極的な営業活動をしなくとも、また同じ会社のものを買って頂くことにつながると思います。 このことは長い間信じているのですが、最近その逆のことも起こり得ることを実感しました。 数年前、ある商品を店舗で購入したのですが、その際、別の関連商品も一緒に購入することを薦められました。あまりにも積極的に薦めてこられたので、一旦買ってみることにしたのですが、その商品は数回使っただけでその後使わなくなり、自分には必要のないものだったということが分かりました。 その後は引き出しにあるその商品を見る度に『要らないものを買わされた』というネガティブな感情が生まれるようになりました。これ以降、そのお店に買いに行くことはやめ、ネットで必要なものだけを買うことにしました。 それと似た状況で、例えば『買うときには気付かないが、その後すぐに気づくような弱点があるようなモノ』も、今回と同じようなことを生み出すと思います。 『購入者の都合をないがしろにした売り方』や、『ごまかしのモノづくり』は、簡単にお客さんに気付かれます。 今後も僕達は、見えないところにもしっかりと気を配ったモノづくりを続けていきます。 High‐pressure selling I think the most important thing in manufacturing is simply “how satisfied the customer can be by purchasing it”. The better the image associated with the product, the more … Read More

●違和感と働き方 (Discomfort and working environment)

違和感と働き方 20代の頃、大学を卒業してすぐに入社した一般企業で僕は、とても大きな違和感を覚えました。 まず、残業についてです。 営業職で「営業手当」が別途支給されていたのですが、その額は一律であったため 残業が増えても収入が増える訳ではありませんでした。 僕自身、長時間働くとどんどん集中力が落ちてしまうのですが、その会社ではある程度 遅い時間まで会社にいることが当たり前とされていました。 いくら効率を上げてその日の仕事を済ませたとしても、早く帰ることが許されない雰囲気の中では、仕事に対するモチベーションがどんどん下がりました。 次に、休暇についてです。 社内では有給休暇を取得するどころか、「その単語を言葉に発すること」すら許されない雰囲気が蔓延していました。 僕自身、しっかり休んでリフレッシュしないと仕事に力が入らないので、この事もとても不満に感じていました。 「もっと働きやすい環境なら もっと僕は力を出せるのに、なぜそうしないのだろう?」 と感じ、この会社の方針が不思議で仕方ありませんでした。 当時抱いたこの大きな違和感をベースに、今自分の会社では「残業ゼロ」「いつでも有給休暇 取得OK」を実現しています。 その他の働き方改革も進めたことによって「積極的に、従業員のワークライフバランスの実現や 女性も活躍できる職場環境づくり」に取り組む企業として、公的機関にも認めて頂くことができました。 違和感を解消すると、何らかの変化が確実に起きます。 今後も僕は続けていきます。 Discomfort and working environment When I was in my 20s, I joined a general company right after graduating from university, … Read More

●違和感とブランドの立ち上げ (Feeling of discomfort and launching a brand)

違和感とブランドの立ち上げ 僕はこれまで色々と新しいことに取り組んできましたが、それらを始めた時のきっかけを振り返ると「ある共通点」があることに気付きました。 それは『違和感』です。 どんな会社や組織においても、これまでの慣習で当たり前とされてきたことがたくさんあると思いますが、それらの中には大きな違和感を感じるものもあるのではないでしょうか。 僕は違和感を感じたまま放置するのが好きではないので、自分なりに改善を加えてみるということをよくやります。 自分が納得のいくようにまで仕組みを変えてみると、新しい世界が開けることが何度もありました。 一つは、ブランド(商標)についてです。 僕がこの包丁の仕事を始めた2005年頃、地元堺の手作りの包丁の良さを当時のお客さんに伝えようと努力したのですが『そんなことどうでもいいから、とにかく安い包丁を紹介して欲しい』『すぐに納品できる包丁が欲しい』と言われることがほとんどでした。 大量生産、大量消費の時代が終わり、以前ほどモノが売れなくなっていたということもあったと思います。 ただもう一つの大きな理由として、当時は高級な包丁も低価格品も、全て同じ商標で販売されていたことも原因だと感じました。 この売り方に大きな違和感を感じた僕は、 「丁寧に作られた包丁の良さを、本当に分かってくれる人に分かりやすく伝えたい」と思い、幸之祐という新しいブランドを立ち上げました。 そうすれば、これまでのお客さんとは全く違った方々にアプローチできると考えたからです。 Feeling of discomfort and launching a brand I have tried many new things, but when I look back at the reasons why I started them, I realized … Read More

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